「釣りたてのアジのおいしさを味わう方法を知りたい。
合わせて、日が経ったときの味の変化を楽しみたい。
また、小さいアジでも鮮度を生かしておいしく食べる方法があるなら知りたい。」
と思いませんか?
この記事を見ると、次のことがわかります。
- 新鮮なアジの特徴
- 日数ごとの変化
- サイズごとに楽しめる料理
- (参考)釣りたてアジを捌くコツ
釣ったアジは、数が多さとサイズが大小混ざる特徴があります。この記事の内容を知れば、一回のアジ釣りで様々な味を楽しめる人になります。
この記事を書いている私は次のとおりです。
- 30年の釣り経験があり、今でも年間100~200匹は捌いています。
- 中学生までには自分で捌き、釣った魚だけで100種類ほど食べました。
- 魚専用の包丁4本を自分で研ぐなど、道具にもこだわってます。
- 妻は調理師として働いていた経験があり、2人で工夫しながら料理をしています。
新鮮なアジの特徴(購入と比較)
釣ったアジを食べてもらうと、「お店で食べるものとは全く別物で美味しい!」という感想がほとんどです。
新鮮なアジは、次の特徴があるからです。
- 身にはプリッとした歯応えがある。
- 刺身を生姜で食べると爽やかな旨みが広がる。
- 火を通すとフワッとした食感で、ジューシーなのにサラッとしている。
私が食べてきた約100種のなかでもアジはトップクラスで、
東京湾のベテラン釣り師と話しても「結局、アジが一番おいしいんだよなぁ」という方は珍しくありません。
実際、東京湾のアジは黄金アジと呼ばれブランド化されているほどです。
一方で、「アジといえば臭み消し」というイメージがあるかも知れません。
料理本でも、臭みを消すレシピが多くその印象は強いです。
釣ったアジならこれが当てはまらず、美味しい理由はなぜでしょうか?
その理由を次の項で説明します。
釣りたてアジが美味しい2つの理由
美味しい理由①:獲ってから食べるまでの時間が短い
お店の場合、「漁船→漁港→市場→(移動)→お店→家」のプロセスで2〜3日かかるといわれています。
一方、釣った魚は、「釣った日=家」なので、2〜3日は刺身でも食べられます。
美味しい理由②:処理が丁寧にできる
漁では、大量に水揚げして処理します。
大規模に扱うおかげで安く買えるのですが、冷え方がまばらなったり、魚の重さで互いに圧迫して痛む可能性があります。
一方、釣りでは1匹(多くても数匹)ずつ釣るので、自然と一匹づつ丁寧に冷やすこととなります。。その結果、最小限の痛みで、鮮度抜群で持ち帰れます。
なお、お店でも「釣りアジ」と呼ばれ丁寧に扱われたものもあります。同じアジでも、人件費が掛かって高級となり、料亭などで扱われることがあります。
これらの理由から、釣ったアジと買ったアジで風味の違いが出てきます。
なお、丁寧に保存するためには、次のページも参考になるのではないでしょうか。
釣った魚をクーラーボックスで保存する方法(ポイント3つ)
日数ごとの変化
上でも書いたとおりお店に並ぶまでに数日経っていることもあるので、釣ったアジでも同じで数日間は食べられます。
体質によるので安全は保証できませんが、釣った当日に処理すれば、刺身で数日間は食べられるほどです。
釣ったアジなら、鮮度が良い状態でスタートし、しかも、早い段階で劣化を抑えられるからです。
その結果、数日間はアジが劣化するのではなく、「歯応えから、旨みへ」と異なる性格の美味しさに変化します。
日毎の変化をお伝えすると次のとおりとなります。
- 【初日】
刺身で食べると、身がプリッとして、シャキッとした歯応え。
火を通しても、ふわっと爽やかな風味なので、天ぷらや塩焼きなどシンプルな料理が釣りたての美味しさを引き立てる。 - 【〜3日ぐらい迄】
初日に処理していれば、刺身で食べられる。旨みが強くなっており、歯応えもモチっとなっているので、「2日以降が好み」という人も多い
旨みが強いので、天ぷらだけでなく、衣が薄めのフライでも楽しめる。
また、薄味の煮付(煮る時間も短め)にすると、ご飯や日本酒との相性が抜群。 - 【4or5日〜】
臭みを感じ始める。一般的な衣の厚さのフライや、生姜などの臭み消しを使ったレシピが合うようになります。
なお、保存方法や処理を詳しく知りたいなら、次のページをご覧ください。
→釣った魚の保存方法(手間を増やさず簡単!3日ほど刺身で食べる)
サイズごとに楽しめる料理
アジは大小ともに味が良いので、次のとおり楽しめます。
〜9cm程度
「骨付きを楽しむこと」がポイントです。
魚を骨付きで料理すれば、骨からダシがでて旨みが強くできます。
骨付き肉が美味しいのと同じです。
【丸揚げ】
ただし、骨ごと食べる場合は、骨が口に残ると食べにくいです。そこで、厚めに小麦粉をまぶして丸揚げすると、骨まで食べやすいです。
注意点として、揚げ時間が長いと魚の風味が飛んでしまいます。「釣りたての味わい」を残すためには、揚げる時間を短くしたいです。
とはいえ、小さい魚なら、骨も弱いので短時間で良いのですが、中途半端(10cm近い)だと骨まで揚げるには長時間かかってしまいます。
そこで、「骨は食べられない」と割り切り、上げるのは身に火が通るまでとして、食べる時に両サイドの身だけ齧ると、「フワッ」とした身が味わえます。
骨と身離れも良いので、手羽先の感覚で味わえます。
好みで、南蛮漬けにするために、酢、醤油、砂糖に、玉ねぎスライスと一緒につけても美味しいです。
酢がキツいと、釣りたての豊かな風味を飛ばしてしまいます。
次のようなお酢を使うと、高価ですが、あなたは釣りたてのアジ本来の味が引き立てる南蛮漬けが作れます。
【刺身】
「こんなに小さいアジを、刺身にする意味があるのか?」と思うのではないでしょうか。
実は、小さい魚は繊維が繊細なので口当たりが良く、旨みもその繊維のなかに閉じ込められていて、上品で美味しいです。
2〜3匹だけを刺身にすると、その繊細な美味しさで、満足度が大きく上がるでしょう。
小さい魚しか釣れなかった時には、その中で最も大きいベスト3まで刺身にしてはいかがでしょうか。
10〜16cm程度
【刺身】
三枚おろしにする手間はありますが、慣れれば調理しやすく、しかもアジの美味しさを最も感じられるサイズでしょう。
一口サイズの身がプリッとしていて、繊細な繊維と旨みが詰まっていて、釣りたてならではの味わいがあります。
高級な寿司屋でも見かけることがあるサイズです。
調理しやすい理由ですが、身の小骨(三枚卸しの身の中央にある骨)が細くて、口当たりが良く、抜く必要がないからです。
アジは捌きやすいので、慣れるのも早いです。
【天ぷら】
刺身と同様に捌いた身を、天ぷらにします。
なお、上げる時間を短くするためには、衣は薄め、身を常温にしてから揚げます。
一口サイズで食べやすく、新鮮なら口に入れるとフワッとトロけて、旨みだけが残ります。
味付けは、天つゆと、塩のそれぞれで楽しむと2度おいしいです。
残った分は、次の日、天丼にすると3度おいしくなります。
18〜30cm程度
【刺身、天ぷら】
身が多く取れ、味も良いため、調理がしやすいサイズです。
ただ、三枚おろし後の小骨は口当たりが悪くなる原因なので、取ることをお勧めします。
特に新鮮なうちは身がフワッとしているため、骨が目立やすいです。
フライ料理にする場合は、気にならないことが多いため、抜かないこともあります。
【タタキ】
身を細かく切っても、歯応えや存在感を残すことができます。
味噌、みりん、醤油と合わせると日本酒に合います。
ただ、新鮮なアジなら、臭いも少ないため、シンプルな調味料が合います。
例えば、次のようにさっぱり和えても美味しいです。
【フライ、煮付け】
フライや煮付けにしても、充分に味のボリュームを感じることができます。
【塩焼き】
身が繊細なので、鮮度が高ければ(3日程度)なら、塩焼きにしてもフワッと風味豊かで美味しいです。
釣りたてならではの美味しさが味わえ、かつ「捌くのがめんどくさい」と感じたときにも味方になってくれる調理方法です。
35センチ以上
大物なので釣れると嬉しく、一匹で多くの身が取れます。
ただ、残念ながら個体によって身質が大雑把になり、繊細な美味しさが劣ることがあります。
そこで、大きさからくるジューシーさを楽しむ料理が良いです。
ただ、釣れる場所による差が大きく、例えば東京湾の中でも走水という地域の周辺だと、大きくても身が引き締まっていて美味しいです。(金アジとして、ブランド化もされています。)
【刺身・漬け丼】
大きめにカットして、生姜を多めにすると、食べごたえがあります。
漬け(醤油、酒、みりんを煮出したものに漬ける)にして、生卵と一緒にご飯にかけて食べても、存在感があって美味しいです。
【フライ】
お店でよく見るサイズです。
ジューシーさが強くて、美味しいです。
身が硬くなりがちですが、衣を厚めにすれば、気になりません。
【開き】
お店で売っているイメージがあると思いますが、実は簡単です。
背中の皮が残るように捌いて、塩を強めにまぶして、冷蔵庫に1〜3日入れるだけです。
サランラップを掛けずに冷蔵庫に入れれば、湿度が低いので勝手に乾燥していきます。
三枚卸しより楽です。
卸すのは片面だけ、背骨に身が残っても後で一緒に食べれられます。
皮が切れても、並べて干せば同じです。
ポイントは、塩は強目が良いです。塩が濃すぎても、お米と食べればちょうど良くなります。
濃すぎると思えば、後から水につけて流しても良い(旨みは、ほぼ逃げません)ので、最初は濃いめにしてみましょう。
(参考)釣りたてアジを捌くコツ
釣りたては、捌くのが楽です。
なぜなら、身も内臓もしっかりして、潰れにくいからです。
力加減が大雑把でも綺麗に捌きやすいです。
ただ、「三枚おろし後の皮を剥き」だけは、釣りたてならではのコツが必要です。
鮮度が高いと皮が強くついていて、身が裂けることがあります。
手順を変えるだけで、簡単にすることができます。
次の角通り、三枚おろし後の腹骨(肋骨みたいな骨)は皮を剥いた後に取ります。
もし、インターネットで動画を見て捌くなら、youtubeの「日本さばけるチャンネル」がシンプルで基本がわかります。
基本だけを学ぶことのメリットは、慣れたらあなた好みの手順で捌けるようになります。
使う道具や、筋力の強さの違いから、捌きやすい手順は少しずつ変わります。
あなたにあった効率的な捌き方ができると、気持ちよく美味しい魚料理が作れる人になるでしょう。
7 まとめ
この記事では、初めてアジの船釣りに挑戦する方向けに、経過日数とサイズごとの楽しみ方をお伝えしてきました。
繰り返しですが、東京湾のアジは魚の中でもトップクラスに美味しいです。
それを美味しく食べられるということは、トップクラスの魚料理ができる人ともいえます。
素材頼みともいえますが、料亭でも素材は大切です。
しかも、その素材はあなたが獲ってきたものです。
「東京で最高レベルの魚を獲って、料理できる人」といえるのではないでしょうか。
あなたが「これから行ってみたい」と考えているなら、次の記事が参考になります。
→簡単!船釣りなら、未経験でも一人で楽しい(店探しや準備も解説)