「魚の皮引きがキレイにできない。
身が残ったり、皮が切れたりするけど、うまくやるにはどうしたらよいのかな。」
と思っていませんか?
この記事を読むと次のことが分かります。そして、あなたは皮引き上手い人になれます。
- 皮引きのコツ4つ
- 皮引きが上手くなる包丁
- 刺身が美味しくなる理由
- (参考)魚種別の皮引きワンポイント
この記事は次の経験から書いています。
- 30年の釣り経験があり、今でも年間100~200匹は捌いています。
- 中学生までには自分で捌き、釣った魚だけで100種類ほど食べました。
- 魚専用の包丁4本を自分で研ぐなど、道具にもこだわってます。
- 妻は調理師として働いていた経験があり、2人で工夫しながら料理をしています。
皮引きのコツ
次の4つです。
- 身幅は狭くする。
- 皮をまな板に張り付くようにする
- 力を入れない
- ちょっとした事前確認
身幅を狭くする。
身が狭いほど、簡単になります。
理由は、「力を抜いて作業がしやすい」「皮にシワが寄らず、平面が維持しやすい」からです。
具体的には、下図のとおり「身の幅が、包丁の直線部分より短い」ことがポイントです。
例えば、タイなどの体高がある魚なら、中央(背骨があったところ)で半分にすると作業性も上がります。
背骨あたりは中骨や血合があるので、それが除去できるからです。
「身が狭くなると、刺身も小さくなってしまう」と思うなら、包丁のサイズを見直した方がよいです。
もし、短い包丁で大きな身を作業してうまくいかないなら、それはあなたが原因ではありません。難易度が高い道具を使っていることが原因でしょう。
後ほど包丁についてもお伝えしています。あなたが参考にして購入することで、皮引きを簡単にすることができます。
皮をまな板に張り付くようにする
置いている時だけでなく、皮を引いている時もまな板から離れないように意識しましょう。
一つ前のコツと合わせることで、「包丁の『直線』部分で、「平面」な皮を引く」ことができます。
力を入れない
包丁を持つ手も、皮を持つ手も力を抜きましょう。
そもそも、皮と身の間を包丁で切るだけなので、力は不要です。
切るときに必要な力を、「皮」、「身」、「皮と身の間」の3つを比べると次のようになります。
皮 > 身 ≧ 皮と身の間
そのため、皮引きの際は、最小限の力で切れる場所を意識しながら切ることとなります。
切れ味が悪い包丁だと、力が入りやすくなるので失敗しやすいです。
皮を持つ手も同様です。
力を入ると、皮にシワができやすく、身が残ったり皮を切ってしまうことになります。
なお、皮が滑って掴めないと力が入りがちです。その際は、皮を布やキッチンペーパーで掴めば軽い力でつかめます。
このようにあなたが力を抜いて作業できるようになると、「皮引き」と「身を切る」の感覚の違いに気づくでしょう。
「皮引き」では、身と皮を繋ぐ繊維を切るので、ざらざらしたものを切る印象になります。(マジックテープを剥がす感覚をとても弱くした感じ)
そして、安定してうまくできます。
ちょっとした事前確認
皮引きは、包丁の寝かせる角度が重要です。
下図のとおり、「包丁の側面だけついて、刃は浮いた状態」を保つのが前提になるからです。
あなたの包丁がどの角度でそのような状態になるのか、皮を引く直前にチェックしてみましょう。
包丁の「側面をまな板につけて、刃が浮く角度をチェックする」だけです。
その角度を維持したまま皮を引けば、刃が皮に付かず離れずが維持できます。
ただ、「動かしているうちに変わりそう」と感じるなら、包丁は固定したまま皮を引きましょう。身(皮)を持った手を包丁側に引っ張ることで、皮がむけていきます。
身に皮が残りやすくなりますが、これで慣れることで包丁を動かすようにもなれるはずです。
皮引きが上手くなる包丁
「刺身包丁(柳葉包丁)」を買えば、皮引きが上手な人になりやすいです。
その理由は、次のとおりです。
- 刃の直線部が長い
- 片刃で厚みがある
これにより、これまでお伝えしてきたコツが簡単にできるだけでなく、後述しますが刺身の味も美味しくなります。
刃の形状が直線的
刺身包丁なら、下図のように直線部分が長いです。
その結果、大きな身でも皮が引きやすいです。
一般的にな包丁(出刃、牛刀、三徳包丁)は、緩いカーブを描いています。
これは、色々なものが切りやすくで便利な一方で、皮も切れやすいことになります。
ただ、注意点として「短い刺身包丁は直線部も短く、メリットも低くなる」ことです。
そのため、収納できる範囲で最も長いものだと活躍します。少なくとも刃渡が24cm以上が
片刃で厚みがある
片刃とは、下図のとおり片面だけを削って作られた刃のことです。
同図のとおり角度があることで、感覚的に隙間を作りやすいです。
そのため、皮引き作業を簡単にすることができます。
刺身が美味しくなる理由
美味しくなる理由は次の二つです。
- 食べる時まで鮮度が保てる
- 表面が綺麗に切れる
食べる時まで鮮度が保てる
皮引が上手くなれば、食べる前に、食べる分だけ簡単に調理できます。
その結果、長い間、刺身が美味しく食べられます。
例えば、釣ったアジなら、皮付きで保存すれば冷蔵庫で数日間刺身で食べても美味しいです。
一方で、皮を引いて数時間経つと、当日であってもおいしく食べられません。
なぜなら、魚は皮を引いてしまうと、身が空気に触れて、冷蔵庫に入れていても臭みがでます。
同じ日に取れた魚でも、その差は大きです。
そこで、あなたが食べるタイミングで皮引きすれば、同じ魚でも美味しく料理ができます。
刺身に限らず、他の料理でもおいしさの差が分かりやすいです。
断面が綺麗に切れる
皮引きに使う「刺身包丁(柳葉包丁)」は、刺身を美味しくします。
理由は、皮がキレイに引けるだけでなく、身も断面もキレイに切れるからです。
下図のとおり、断面の滑らかさは、鮮度を保ち、魚の本来の味が楽しめます。
(参考)魚種別 皮引きワンポイント
魚ごとに皮引きのポイントが変わります。
皮の「強さ」「厚み」「身と皮のくっつき方」などは魚種毎で違うので、剥がれやすさに差が出るからです。
こでは東京湾周辺でよく食べる魚を例にワンポイントを紹介していきます。
全て三枚おろしした状態での皮引きを想定しています。
- マダイ:皮が強く、体高が高いので、身幅を調整(包丁の直線部の長さに合わせる)が必要です。身が離れやすくて、弱い力で引けると皮引きがキレイにできます。
- ワラサ(イナダ、ブリ):細身で取りやすい形ですが、皮と身のくっつきが強く、力を入れ過ぎないように加減しながら皮引きします。標準的な難易度なので、あなたがこの魚が皮引きがキレイにできるようになれば、ほとんどの魚が処理できるようになるでしょう。
- イサキ:皮が硬めで強く、身と離れやすいので比較的簡単です。弱い力で引くようにしましょう。
- マゴチ:身が丸く、皮が薄いので少し難しいです。よく切れる包丁で、力を入れ過ぎないように調整しながら引きます。
- シロギス:皮が薄く、剥がれにくいので皮引きが難しいです。火を通して調理するなら、皮を取る必要はありません。もし刺身として皮を引くなら、少し身が皮に残るくらいの感じで行うとうまくいきやすいです。
- カサゴ・メバル:皮と身が強く付いてますが、皮が厚くて強いので、力が入ってもキレイに皮引きしやすいです。
以降の魚は、皮引きにあたって包丁を使わない方がうまくいきます。
- アジ・イワシ:剥がれやすい皮なので、手で引っ張るだけで皮がむけます。身が薄く崩れやすいので、腹骨(肋骨)がある状態のほうが身が強くてキレイにむけます。
- サバ:三枚卸しにすれば、包丁をつかわず手で皮がむけます。身が丸く強いので、簡単に剥がれます。
- タチウオ:皮が薄く生でもほとんど感じません。そのため、刺身でも剥く必要がありません。
- カワハギ:例外的に三枚おろしする前に、皮を剥きます。口、全ての鰭をキッチンハサミで根本の皮部分から切り落とすと、皮を手で剥ぐことができます。
まとめ
この記事では、皮引きのコツと、刺身包丁で皮引きが簡単になる理由を解説してきました。
なお、あなたが包丁を探すなら次のページも参考になるのではないでしょうか。