「魚を釣ってきたけど、保存方法が分からない。そのまま冷蔵庫に入れても大丈夫かな?
せっかくだから美味しく食べたけど、今日は疲れているからできるだけ簡単にすませたい。」
と考えていませんか?
この記事を読めば、あなたは次のことがわかります。
あなたが「魚の処理は少しもしたくない」ならこの記事は読まないでください。
一方で、「効率的に、おいしく処理したい!」なら、この記事を活用すれば最低限の処理で鮮度が保つようにできます。
- 釣った魚の保存方法のポイント(買った魚との違い。鮮度に影響すること)
- 魚の処理手順(イラストで解説)
- 冷蔵庫に保存した後のこと(「食べられる期間の目安」や「食べ方」)
- 冷凍保存
なお、この記事は次の経験をもとに記載しています。
- 30年の釣り経験があり、今でも年間100~200匹は捌いています。
- 中学生までには自分で捌き、釣った魚だけで100種類ほど食べました。
- 魚専用の包丁4本を自分で研ぐなど、道具にもこだわってます。
- 妻は調理師として働いていた経験があり、2人で工夫しながら料理をしています。
釣った魚の保存するためのポイント
買った魚と何が違う?
あなたは「釣った魚なら、刺身が3日間たべる」と聞くと、長く感じるでしょうか?
お店の刺身なら不可能ですが、釣った魚なら簡単に保ちます。しかも、美味しいです。
理由は次のとおりです。(あなたは「そんな単純ことなのか」と感じるでしょう。)
お店の場合、「漁船→漁港→市場→(移動)→お店→家」のプロセスで2〜3日かかるといわれています。
一方、釣った魚は、「釣った日=家」なので、2〜3日は刺身でも食べられます。
そして、刺身で食べて美味しい魚は、煮魚や焼き魚にしても美味しいです。
鮮度は保存の仕方で大きく変わるので「3日」は目安です。逆を言えば、「釣ってすぐに処理」すれば、もっと長い期間可能ともいえます。
→釣った魚は何日持つ?(長くおいしく食べる方法3選も紹介)
鮮度に影響する4つの要素
後ほど具体の処理方法をお伝えしますが、あなたが、先にこの4要素を知っておくと美味しく保存しやすくなります。
- ①エラや内臓
- ②空気
- ③水気
- ④温度
①エラと内臓
早めに取り外すことで、鮮度が保てます。
なぜなら、エラと内臓は細菌が繁殖しやすいからです。そのまま保存しておくと内部から傷んで、腐敗やニオイの原因となります。
②空気
身が空気に直接触れないようにすることで、鮮度を保てます。
空気が身に触れている部分は、菌が繁殖して腐敗やニオイの原因になります。
例えば、「刺身」は痛むのが早く、「サク」なら改善できます。そして、「丸のまま(内臓とエラは除去)」なら、身が表面に出てこず、鮮度が保てることができます。
③水気
冷蔵庫に入れる前には、水気を拭くと美味しく保存できます。
身に水がつくと、ふやけて身質が低下します。もし、魚の血などが混ざっていたなら、そのニオイもついてしまいます。
ザッと拭いて、水が滴らなければ大丈夫です。冷蔵庫は乾燥しているので、ちょうどよくなります。
④温度
温度が高いと雑菌が増えますが、ここでは具体的に「温度が上がる原因2つ」をお伝えします。
【水道水の温度】
暖かい季節なら水道水の温度も高いので、冷えた魚を温めてしまいます。
洗う時間は短くするなど、水道水に触れる時間を短くすると冷えままにしておけます。
【クーラーボックスの冷やし方】
釣ったときから「保存」は始まっています。なので、早めにクーラーボックスに入れます。
血抜きするなら、「ハサミでエラを切る」方法が魚を選ばず簡単です。「傷口から水が入り、身が水っぽくなる」などのデメリットも少ないです。
氷だけでは魚の冷えが遅いので、海水を加えて「こおり水」にすると早く冷やせます。
詳しく知りたい場合は、次も参考にしてみては以下だ絵消化。
→釣った魚をクーラーボックスで保存する方法(使い方のポイント3つ)
魚の処理手順
最低限の処理で、手順を整理することで鮮度を保つ方法です。
そのためには、次の二つに分けて処理します。
1 釣った当日の処理
次の6つの手順で行うことで、鮮度が保てる保存ができます。
1.1 魚のヒレをハサミで切り落とす
ヒレを、根本(下図a)から切り落とします。キッチンバサミを使うと簡単です。
※ 図a:ヒレを切り落とす場所
「切り落とす必要性はあるの?」と感じるかもしれません。
ヒレは「怪我しやすく」「ウロコを飛び散らかす」「水気が残る」原因になるので、切るだけでそれが防げます。
作業スピードが上がり効率が上気られます。ヒレがお皿からはみ出して、冷蔵庫が汚れることも防げます。
あなたも「ヒレなし」「ヒレあり」の状態で試してみてください。その後の扱いがラクなことに気づくでしょう。
1.2 ウロコを取る
下図のとおり、魚の頭を掴んでウロコをとっていきます。
「しっかり固定できる掴み方」ができると、作業がラクにできます。もし、あなたがウロコ取りで悩むなら次のページが参考になります。
→魚のウロコ取り方:「簡単・安全にとるコツ2つ」と「道具5選」
1.3 頭を取るための切り目を入れる
えらと頭を一緒に取る作業です。
下図bの赤点線のとおり、頭の付け根と、合わせて背骨を切ります。
ここでは切るだけで、頭の取り外しは次の工程(1.4)で行います。
※図b:頭部と背骨の切断
あなたが経験者なら「もっと後ろ(胸ビレの後ろ)がよいのでは?」と思うかもしれませんが、この時点では頭の付け根を切ります。
理由は、この後に内臓をとって洗うので、出ている部分の身が痛むからです。
少し前方(頭部のつけて)で切っておくと、最後にもう一度(胸ビレの後ろを)切ることができて、新鮮な身だけが残せます。
1.4 腹部を切って、内臓をとる
キッチンバサミでお腹を切って(図cの赤線)、内臓を取ります。
この時、内臓と頭が繋がっています。そのため、頭を下図のように取れば、内臓と一緒にとることができます。
※図c:頭と内臓を除去
なお、内臓への傷を最小限に抑えると臭いが押さえられます。
そのためには、キッチンバサミを「肛門側から入れて、唇の直前まで切る」と綺麗に取れます。
もし、エラ周辺の膜が強くて取れないなら、その部分もハサミで切り分ければカンタンに取れます。
上記の作業を経て、下図dのようにとてもシンプルな状態になるため、扱いがラクになります。
※図d
最初のうちは台所がキレイに使えなくて悩むかもしれません。もし、あなたも悩む場合は、次のページも参考にしてみてください。
→鱗が飛び散らない方法とウロコ取り紹介(台所の汚れ対策も解説)
1.5 お腹の内側を洗う
背骨の下に血合があります。膜で見えないので、ハサミなどで切ってから、全体を洗います。
水道水が暖かい季節なら、丁寧に洗うのはこのタイミングだけにします。そうすることで、水道水で魚の冷えを奪うことを最小限にでき、鮮度が保てます。
なお、お腹のなかは洗いにくいため、下記の魚洗い用ブラシがあると素早くキレイにできます。
安くて機能性も高いので、一本持っておけば繰り返し使えて魚の処理がラクになります。
→「魚の腹洗い用キッチンブラシ」紹介ページ
1.6 水気を拭き取って冷蔵庫で保存
表面とお腹の内側の水気を拭き取ります。
その後、そしてサランラップをかけて冷蔵庫に入れます。
なお、水気を拭き取った布は汚れやすいので、使い捨て布巾を使うとラクです。
ニトリの「カット式台ふきん(ウェーブ 42カット ライトグレー)」などは、絞って繰り返し使えます。
最後に洗剤をつければ、調理器具を洗うこともできるので衛生的です。
【「当日はキツイ」と感じるときに】
翌日でも平気かもしれません。
釣ってすぐに冷やしたなら、内臓が傷みが少なく、身への影響は遅くなるからです。
とはいえ、保存状態や環境に左右されるので、早い方が安心なのは変わらないです。内蔵のドリップ液がでれば、急速に傷みます。
なお、鮮度だけを考えらば「1.1ヒレ切り」や「1.2ウロコ取り」は後回しにもできます。
ただ、最初にやる方が効率的で、かつすぐに食べられるのでラクです。
2 食べる日の処理(3枚下ろし)
以降は、三枚おろしをする作業となります。当日食べるなら、上の処理に続いて行うこととなります。
この作業を食べる日にすることで、空気に触れていた部分が全て切り落とされます。そして、刺身だけでなく、天ぷらやフライにしても美味しく食べられます。
2.1 前後(頭尾)を切り落とす
表面に出ていた身を切り落とすために、前後を少し詰めます。
具体的には、下図eの赤点線の箇所で切り落とします。
※図e
2.2 魚を三枚に下ろし、お腹の骨(肋骨)を削ぎ落とす
三枚おろしにすることで、背骨付近の身が初めて表面に出ます。
また、お腹の内側も肋骨とともに切り落とされます。
結果的に、鮮度が高い身だけが取り出せます。
2.3 皮引き
上記に続いて、皮の内側の身が初めて表面に出て、鮮度が高い身だけになります。
皮引きのコツや道具は悩みやすいと思うため、下記のページで詳細を解説しています。
→魚の皮を綺麗に引く(剥く)コツ。道具の違いは大きいです
2.4 身の小骨を抜く
背骨があったとところ(身の真ん中あたり)に小骨があるので、「骨抜き」で抜いていきます。
骨は目で見えずらいので、指の感触で探します。頭から尻尾方向に向かって撫でると、わかりやすいです。
基本的には、皮をとったあとの方が抜けやすいです。
ただ、「身が柔らかい魚」や「小さい魚」だと、皮がないと身崩れしやすいことがあります。
あなたが骨を抜いてて「身がボロボロになって、残念」と感じる魚なら、皮を引く前に抜けるか試すとキレイな見た目が保ちやすいでしょう。
なお、骨抜きはシンプルながらコツが必要です。もし、うまく抜けないと感じる場合は、次のページが参考になるのではないでしょうか。
→釣った魚の骨抜きのコツと、快適な道具の紹介
【補足】寄生虫(アニサキス)のチェック方法
ブラックライトを使用すると見つけやすいです。
ただし、ブラックライトは目的によって特徴が変わるので、どれでも良いわけではありません。
これは私も失敗した経験があるため、それも踏まえた詳細は下記ページで解説しています。
→釣った魚のアニサキス(寄生虫)の目視
冷蔵庫に保存した後のこと(食べられる期間、食べ方)
食べられる期間
上記の保存方法であれば刺身は「3日程度(釣った日含む)」が目安です。
ただし、あくまで私の体験談です。
体質や保存状態で変わるため他人が保証できるものではないため、自己責任で判断が必要です。
とはいえ、あなたが初めてなら、そのため、ここではここでは私が行なっている判断方法をお伝えします。
「味の変化(熟成)」と「傷みの判断」
空気に触れていない部分なら、概ね2〜3日は臭みを感じません。
熟成されることで、「もっちりとした旨み」が強くなり、「こっちの方が美味しい」という場合もあるでしょう。
3〜4日を過ぎたころから、「ニオイ」を少しずつ感じるようになります。
といっても、まだまだ美味しいと感じるレベルの、「お店で買った刺身のニオイ」程度のものです。
体質が強ければ、食べても平気な印象を受けるでしょう。ただ、家庭レベルの管理なので、そうなったら火を通す料理にすると安心です。
「刺身レベルの身を焼くのはもったいない。贅沢すぎる。」と感じるかもしれませんが、その鮮度なら焼いても「ふわっ」としています。
釣った1〜3日目に刺身も食べたなら、違った味として楽しみが広がります。
なお、「釣った日から4日目」以降の鮮度状態は、スーパーでザルで買った場合と同じで、見た目や臭いから判断します。
内臓と頭を取っているので鮮度が落ちにくいのですが、「釣った日から5〜6日間」程度が安全で美味しく食べられます。食べるときには、表面を落とすことで味も安全性もアップします。
魚ごとの違い
魚の種類でも、保存期間が変わります。
例えば、上記はアジを目安に記載しています。
タイ、メジナ、カサゴなどの白身魚なら、1〜2日延長して(釣ってから4〜5日)様子を見ることができます。
その際は、皮を引いた時のニオイが目安になります。
ただし、「サバ」「イワシ」の2種類だけは鮮度管理がとても難しいので、別に考えた方が安全です。3日程度の期間に調理した方が安心です。
刺身も当日なら美味しいですが、サバに限れば寄生虫のリスクがあるため、あなたが自信がなら避けましょう。
料理と保存期間
ここまでは、刺身や天ぷらを前提に記載してきましたが、料理方法次第でも保存期間は伸ばせます。
ここでも「空気」に触れさせないことがポイントになります。
例えば、刺身の状態なら数時間で臭いができます。しかし、刺身でも「漬け」すれば空気に触れる面積が減るため、半日程度は美味しく食べられます。
【レシピ:刺身の漬け】
「醤油:みりん:酒=1:1:1」を混ぜて漬けタレを作ります。
アルコールを飛ばすなら沸騰させます。
一方で、お酒のつまみにするならそのままつけても美味しいです。
2〜3時間つければ、食べられます。味が濃ければ、お茶漬けにしても美味しいです。
また、サクの状態で、「味噌」や「柚子胡椒」でつけておけば、身と空気が直接触れないだけでなく、それ自体が臭み消しになります。
【レシピ:味噌または柚子胡椒漬け】
「味噌」または「柚子胡椒」を、「みりん」を入れて*柔らかくします。
*「のり状」にして魚に塗りやすくすることが目的なので、分量は適当で可(日本酒でも構いません)
サクの全体に塗ったら、ジップロックなどのビニール袋に入れて冷蔵庫へいれます。
そして、食べるときは味噌(または柚子胡椒)を洗い流してから、焼きます。
味付けでなく鮮度を保つことが目的なので、味の染み込みの強逆は気にしなくても美味しく食べられるのでカンタンです。薄ければ醤油などをつけて、濃ければお酒やお米とよく合うので、どちらも楽しめます。
もっと期間を伸ばしたい場合
あたなたが「刺身の期間を、もっとのばしたい」と思う場合は、リスクが上がりますが次のページが参考になるのではないでしょうか。
→釣った魚は何日持つ?(長くおいしく食べる方法3選も紹介)
冷凍保存
冷凍保存する場合も、身が空気に触れないことが大切です。
理由は、家庭用冷凍庫レベルでは表面が乾燥して、味が落ちやすいからです。
そのためには、次の方法が有効です。
- 漬け(焼き物用)
- 真空パック
なお、解凍は「魚をジップロックなどの防水ビニール袋に入れ、氷水に4時間ほどつける」と劣化が少なくおいしくたべられます。
漬け(焼き物用)
表面の乾燥を防ぐために、味噌などを塗った状態で冷凍します。
結果的には、料理自体は冷蔵保存と変わらないことになります。
漬けなら、「冷蔵で後日食べる予定だったけど、、予定が変わったらやっぱり冷凍しよう」とカンタンに切り替えられます。
あなたがビールやワイン好きなら、アヒージョもおすすめです。
オリーブオイルなどに漬けた状態で冷凍しておけば、食べるときにそのまま温めてつまみになります。
【レシピ:小魚のアヒージョ】
ジップロックなどのビーニール袋に「オリーブオイル、ニンニク、塩、胡椒」を入れます。(塩は味見をしながら好みで入れます。食べる時に足せるので、なんとなくで大丈夫です。)
そこに、ウロコ、エラ、内臓をとった魚を入れて冷凍します。
解凍時は、オリーブオイルごと鍋にいれて弱火で煮ます。好みで、唐辛子やバジルなどを入れても美味しいです。
小魚なら骨がと食べられます。骨が硬くても身離れが良いので、齧りながら食べても美味しいです。
真空パック
機械が必要ですが、サクにした状態で冷凍すると、臨時の食材になるのでとても活躍します。
特に、イカやタコなら長期間保存できるので、たくさん釣っても喜ばれます。
一度買うととても活躍するので、あなたが検討している場合は次のページも参考にしてみてください。
→■真空パック器の紹介ページ。(準備中)
まとめ
この記事では以下をお伝えしました。
- 釣った魚の保存方法のポイント
「エラや内臓」「空気」「温度」「水気」と、具体の気を付けるタイミング - 魚を保存するための処理のしかた
「釣った当日」と「食べる当日」を分ければカンタンに数日間の鮮度を保てることと、その具体的な処理 - 冷蔵庫に保存をしたあとの「味の変化(熟成)」と「傷みの判断」と、
その料理方法の紹介 - 冷凍保存の方法として、「漬け」と「真空パック」を紹介
あなたが、もし「専用の包丁が必要かなぁ」と考えているなら、次のページも参考にしてみてください。専用の包丁を持つイメージが掴めて、検討のヒントになるのではないでしょうか。
→ロッドと同じように自分に合った包丁を探す。
いかがでしたか?
あなたが「今はカンタンにできない」と感じても、道具を揃えて効率的にしていけば慣れるのも早いです。
食べやすく保存した美味しい魚は、家族や周りからも喜こばれます。
そして、あなたがカッコよく「魚を捌ける人」になれば、家族や友人もあなたが魚を釣って持ち帰ることを楽しみにするのではないでしょうか。