釣りを始めようと道具を揃える際に、釣り糸に種類があることに驚く方も多いと思います。
また、どのように選択するのか迷うことも多いと思います。
そのような釣り糸の種類や使い分けについて、連載で解説していきます。
今回は、全体概要として、「ラインにどのような種類があるか」と「それぞれの特徴に応じた使い分け」を説明していきます。
なお、連載は下記ページのとおりです。
・釣り糸の種類②:PEライン編。マーカーやコーティングの有無の使い分け。
・釣り糸の種類③:フロロ・ナイロンライン。似て非なる性質の使い分け。
1 ラインの種類(素材の違い)
ラインの種類を大きく分ける場合、その素材基準となり、釣りを始めた場合は次の4つを知っておけば、困ることはほとんどないです。
① PEライン(ピーイーライン)
② フロロライン
③ ナイロンライン
④ エステルライン
①〜④にはそれぞれ異なる特徴があり、使用感が異なります。
そのため、ほぼ全てのラインの商品パッケージに、どの素材が使用されているか明記されており、それを確認しながら購入することとなります。
なお、最初の頃は、④エステルを使用することは稀で、主に①〜③の使用します。
また、上記以外にも、金属ワイヤー、ケプラー、フライライン、木綿等などが使用されますが、とても限定的です。
そのため、初心者の方がこの素材だけを買う機会はほぼなく、最初は気にする必要ないです。
2 釣り糸の素材のそれぞれの特徴と使い分け
各素材の特徴は下記表のとおりです。
基本的には私のイメージで記載していますので、ご了承ください。
なお、表中の左列記載の「ミチイト」「リーダー」「ハリス」としての使用に関しては、下記「3 糸の組合せ」にて詳細を説明します。
① PEライン | ② フロロライン | ③ ナイロンライン | ④ エステルライン | |
見た目 | 編み糸で不透明 (見た目は木綿糸) | 透明 着色は少ない | 透明 着色あり(ミチイト用) | 透明 着色あり(ミチイト用) |
引張強度 ※1 | 強い 他の2倍以上 | 標準 | 標準 | ー ※3 |
擦れ強度 ※1 | 弱い 編み糸のため ほつれやすい。 | 強い | 標準〜強い | ー ※3 |
伸び ※2 | 3-5% | 20-25% | 23-25% | 20-22% |
張り | 弱い | 強い | あり | とても強い |
比重 ※2 | 0.97 | 1.78 | 1.14 | 1.38 |
特徴 | 瞬間的な衝撃で 切れやすいため、 リーダーが必要 | 沈みやすく、 擦れに強いため 仕掛けやルアー周辺に 使用されやすい。 | 適度な張りと しなやかさがあり 安さもメリット。 低伸度、耐摩擦性の 高機能は価格が高め | ハリが強いため、 太い糸は 道糸としては 使えない。 |
ミチイト として利用 | ほとんどの 釣りで活躍 | 淡水ルアー釣り等で、 限定的に活躍 | ルアー釣り 餌釣り で活躍 | アジ(ルアー限定)や 管理釣場等で、 限定的に活躍 |
リーダー として利用 | 稀 | ほとんどの 釣りで活躍 | ルアー釣りで、 限定的に活躍 | 稀 |
ハリス として利用 | 稀 | ほとんどの 釣りで活躍 | 小物釣りや 超大物では では活躍 | イカやカワハギ等 限定的 |
※2 株式会社ゴーセン「ライン(釣り糸)の基礎知識」より引用(https://www.gosen-f.jp/good/)
※3 エステルの場合は、他と異なり、針が強くて細い糸を使いがちのため、単純比較が難しいです。
3 糸の組合せ(パーツとしての使用)
下図のような竿、リール、糸、針までの組み合わせを、タックルや仕掛けと呼びます。
図のとおり糸は更にパーツに分かれ、「ミチイト:リールに巻く糸」、「リーダー:オモリやルアー(擬似餌)につける糸」、「ハリス:針に結ぶ糸」等とそれぞれ組み合わされます。
パーツ毎の詳細は次のとおりです。
3.1 ミチイト(道糸)
リールに巻かれている糸をミチイトと言います。
投げたり、沈めると30m〜100m程度はミチイトが出るため、素材の特徴の影響が大きく出ます。
<伸びやすさの影響>
例えば、糸が50mが出ている場合、次のようになります。
①PEライン→1.5m程度伸びる
②フロロ及び③ナイロン→10m以上伸びる
このため、②フロロや③ナイロンでは水中で何が起きているのか分かりにくいです。
一方で、伸びることはクッション的な役割にもなるため、魚の口の中まで入りやすく針が掛かり易くなという利点になります。
<素材の引張強度の影響>
①PEラインは強度が高く細い糸が使えることがメリットです。
糸が細いことで、風や水の影響を受けにくく、飛距離が飛んだり、水流で流されて障害物に引っかかるなどのリスクが減らせます。
<特徴に応じた使い分け>
①PEラインは上記の特徴から、他のラインに比べて操作がしやすく、魚が食いついた瞬間が分かりやすいことからミチイトと使用されることが多いです。
なお、②フロロラインや③ナイロンラインもミチイトとして使用される場面もあり、かつては主流でした。
理由として、以前は、PEラインは高価で、絡みやすく使い勝手が悪かったからです。
しかし、現在は、①PEは低価格化が進み、かつ張りがあって絡みにくいなど機能的になっています。
なお、④エステルに関しては、繊細な釣りにミチイトとして使用されることがあります。
特徴として、伸びにくく張りが強くて操作感は良い一方、太いと張りが強すぎてリールに巻けない(巻いても飛び出してきてしまう)ことがあります。
そのため、結果的に細い糸となるため、強度的に岸からのアジや管理釣場のニジマスといった、小型魚がメインの釣りで活躍する事が多いです。
3.2 リーダー
ミチイトの先につける糸のことです。
「①PEライン」を使用する場合に、リーダーをつけることが多いです。
リーダーをつける理由は、ルアーや仕掛けの近くは絡んだり、物に当たって擦れる事が多いため、PEラインの弱点である「摩擦に弱い」「絡みやすさ」を克服するためつけることとなります。
なお、リーダーの素材は、②フロロラインが摩擦に強く使用されることが多いです。
また、PEにリーダーをつけるメリットとして、瞬間的な力に強くなるという点もあります。
「①PEライン」は伸びないため瞬間的な力が掛かると切れやすいですが、「②フロロライン」等があることで、ショックを和らげてくれることで、切れにくくなります。
3.3 ハリス
餌釣りで、針に結ぶ糸のことをハリスと呼びます。
こちらについては、魚が食べる餌のすぐ近くのため、魚の歯で擦れても切れにくく、かつ目立ちにくいように透明な糸が使用されます。
そのため、②フロロライン、③ナイロンライン、④エステルラインのいずれかが使用されます。
中でも最も使用頻度が高いの②フロロラインです。
擦れに強いことや、比重が大きく餌と同じスピードで沈ませやすいなどが理由です。また、屈折率が水に近いため水中で見えにくいと言われています。
ただし、③ナイロンラインもよく使用されます。
コストが安いことや、しなやかさかつ伸びため違和感が小さい、などのメリットがあります。また、マグロのような超大物の場合は、ナイロン以外では固くて結べない、衝撃吸収性が高いなどを利用にナイロンがメインとなります。
④エステルラインは、上記の二つに比べると使用頻度はかなり少なくなります。
強い張りを求める場合や、糸の癖の取りやすさなどの特徴を活かして使用されます。
以上のように、どの素材が最も良いというよりは、目的に応じた適材適所で使用されることとなります。
4 まとめ
本記事では、多くの方が迷う釣り糸について、全体概要としてその種類の紹介、素材毎の特徴、および使い分けを詳しく説明しました。
なお、各素材の中で目的に応じて更に細かな使い分けが必要な場合も多く、実際の購入時に迷うポイントになりやすいです。
各素材の詳細については、本記事トップに記載のリンク先で個別に説明しているため、併せてご覧ください。
※参考
本ブログでは、釣りを趣味として深めていきたい方や経験者向けに、釣り方毎の詳細や、釣具紹介等を掲載していく予定ですので、ご覧ください。
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