
「クーラーボックスの素材には、どんな種類があるんだろう。
“釣り用”、”キャンプ用”の違い。
買うときにチェックすべきポイントも知っておきたい。」
と思っていませんか?
あなたがこの記事を読むと、次のことが分かります。
- クーラーボックスの素材と選び方【基本編】
- 釣り用とキャンプ用、どっちを選ぶ?【用途別チェックポイント6つ】
これまで10個以上のクーラーボックスを購入・使用してきた経験をもとに、実際に役立つ選び方をお伝えします。
なお、この記事を書いている私は、次のとおりです。
- 関東在住、30年の釣り経験があり、130種類以上の魚を釣ってきました。
- 現在は、仕事と子育て(小学生と幼児)をしつつ、東京湾で年間100匹~300匹釣っています。
- 小学生のときに祖父から釣りを学んでから、ほぼ毎週父にせがんで一緒に行ってました。
- 今では、一泊する釣りも行きます。そして、エサ、ルアー、フライと様々な釣りで、岸や船から楽しんでいます。
クーラーボックスの素材と選び方【基本編】
クーラーボックスには、大きく分けて「ハードタイプ(プラスチックの箱)」と「ソフトタイプ(布やビニール製)」の2種類があります。
このうちハードタイプには、内部の断熱材として3つの種類があります(詳細は後述します)。
以下に、タイプごとの構造をまとめます
種類 | 外側の素材 | 内部の断熱材 |
ハードタイプ | プラスチック | ①発泡スチロール ②ウレタン ③真空パネル |
ソフトタイプ | 布•ビニールなど | ポリエチレンフォーム |
「ハード」と「ソフト」のタイプの違い
ハードタイプ
頑丈で保冷に優れるので、釣りではメインとなります。
◯メリット
- 硬いプラスチックで頑丈
- 密閉性が高いので、保冷力が高い。加えて、水漏れを防げて車や電車でも安心
- 壁の厚みや断熱材など、保冷力の高い構造が選べる
- ワンタッチでフタが開閉できる
- 椅子代わりになるタイプもあり、荷物(イス)を減らせる
◯デメリット
- スペースを取るため、サイズ選びを間違えると収納や積載が大変
- ソフトタイプと比べると、大きいほど持ちにくさを感じる
◯ハードタイプが活躍するシーン
- 釣りには最適
炎天下でも冷たさをキープしやすく、加えて、岩などで擦っても壊れずに長く使える。また、エサなどで手が汚れたときにワンタッチで開け閉めできる点も実用的です。 - キャンプでの長時間使用に
一泊二日以上のキャンプでは、保冷力を優先してハードタイプが安心。真夏でも、肉や飲み物の低温を保ち、氷を気にせずのんびり過ごせます。
ソフトタイプ
軽くて持ち運びやすく、日常使いや短時間のアウトドアならソフトタイプです。
◯メリット
- 布やビニール(アルミシート)など柔らかい素材で作られているため、畳んでコンパクトに収納できる
- 軽量で、バッグのように肩掛けできるタイプも多く、持ち運びが楽
- デザイン性が高く、カジュアルな服装にもなじみやすい
◯デメリット
- 畳めるように薄く作られているため、保冷力はやや劣る
- 開閉口がファスナー式のものが多く、手が汚れていると開けにくい
- ファスナーが海水で塩がみを起こし、開閉できなくなることがある。逆に、簡易的なフタ構造のものは隙間ができて冷気が逃げやすい
◯ソフトタイプが活躍するシーン
夏場の買い物や日帰りキャンプなど、短時間の使用を想定した場面で活躍します。
釣りでは、以下のような限定的なケースで使われることが多いです。
- マグロやブリなど1m級の魚を岸で狙う際、歩く距離が長くハードタイプを持ち込めない場合に使用。ソフトタイプを折りたたんで携帯し、釣れたら広げて帰宅時など短時間の保冷に使います。
ハード/ソフトのどちらを選ぶか。
アウトドア用のクーラーボックスといえば、やっぱりハードタイプでしょう。
重くてかさばるのに、今も多くの人に選ばれているのは、「保冷力」「耐久性」「座れる安心感」など、ソフトタイプにはない頼もしさがあるからです。
ただ、ハードタイプは選び方が重要です。
外見はどれも同じに見えるので、あなたの選定眼の有無で良い商品が選べるかが変わってきます。
以降で詳細をお伝えするので、読んだあなたならその知識をもとにあなたにとって良い商品が選べるでしょう。
「断熱材3種類」の違い(ハードタイプの内部の話)
ハードタイプのクーラーボックスには、主に3種類の断熱材が使われています。
それぞれの違いは「保冷力」「重さ」「価格」の3点です。
以下は、一般的な”発泡スチロール”を基準(=1倍)とした場合の比較です。
※各断熱材の詳細は後述します。
保冷力 | 重さ | 価格 | |
① 発泡スチロール | 1 | 1 | 1 |
② ウレタン | 1.5倍 | 1.1倍 | 1.1〜1.2倍 |
③ 真空パネル(6面) | 10倍 | 1〜1.5kg 増 | 3倍 |
「同社ISO PRESS(http://www.daiwa.globeride.jp/column/iso-press/2017/09/post-3.html)」を基に作成
断熱材が違っても、見た目にはほとんど差が出ません。
というのも、下図のとおり断熱材はすべてプラスチックなどで覆われていて、外からは構造がわからないからです。

では、「どのように断熱材の種類を知るのか」ですが、「商品説明」しかありません。
すべての商品に断熱材の種類が書かれているわけではありませんが、保冷力にこだわった商品ほど、きちんと明記されていることが多いです。
だからこそ、「商品説明で断熱材の材質が明記されている」ことは、信頼する判断基準の一つにできます。
そして、下記でお伝えする断熱剤の違いを知って、選んでいけます。
各断熱材の詳細
① 発泡スチロール
スーパーの鮮魚コーナーでもよく使われる、もっとも身近な断熱材です。
断熱材の種類が明記されていない場合は、基本的に発泡スチロールと考えてよいでしょう。
ただ、その場合でも品質に大きな差があるため注意が必要です。
特に2〜3千円程度の安価な製品では、下図のように断熱材が薄かったり、隙間のある商品はかもしれません。(私がお店で買った2千円程度のクーラーで、実際あった話です。)

発泡スチロールは本来保冷力がありますが、上記の用に隙間が多いとその効果は発揮されません。
魚の鮮度が落ちて味が悪くなるだけでなく、食中毒のリスクもあります。
このリスクを避けるには安いものを避けて、メーカ品を選ぶことです。
もし、「お試しの釣りで、安く済ませたい」という時は、次のような発泡スチロールだけのものが安定した保冷力を確保できます。
ハードクーラーほどは優れていませんが、それでも飲食店の鮮魚に使われる「白い発泡スチロール箱」と同じなので、実績に基づく信頼はあります。
なお、フタが風で飛ばされやすいので、ガムテープを持参して、片面を止めておけば紛失を防げます。
また、帰宅時にはフタのスキマから水漏れするため、フタの周囲をガムテープで止めておけば安心です。
② ウレタン
ウレタンは、コスパが優れた保冷素材です。
発泡スチロールと比べて、約1.5倍の保冷力がありながら、価格は1.1倍程度とお手頃です。
また、断熱材にこだわった商品に使われることが多いことから、ウレタン素材のクーラーボックスは保温性以外の機能のレベルも高いことが多いです。
具体的には「洗いやすさ・頑丈さ・持ち運びやすさ•開閉しやすさ」などがしっかり考えられています。
一方で、その分デザインはややシンプルな傾向があり、デザイン面での選択肢が少ないのは弱点のひとつです。
そのため、もしあなたが「コスパを意識しつつも、質や機能性をしっかり確保」できる人なら、こちら一択です。
なお、買うときにサイズに迷うことが多いです。
あなたが使いやすいクーラーボックスのサイズの選び方は、下記サイトが参考になります。
釣り用クーラーボックス:東京・関東用の選び方とおすすめ12選
③ 真空パネル
断熱性は抜群です。
ただし、デメリットとして、価格が高くなるだけでなく、重くなる傾向があります。
また、真空パネルは破損のリスクもあります。
例えば、釣りでは、クーラーボックスに入れた氷をナイフやアイスピックで砕くことがあります。
その際に、力を入れすぎると底面に刺さって、真空パネルを割る可能性があります。
ウレタンや発泡スチロールなら穴が空いても防水テープで塞げば保冷力は保てます。しかし、真空パネルは機能を失ってしまいます。
これを聞くと「そんなに力を入れない」と思うかもしれません。
ただ、氷を割るときは「大物や数が釣れて、氷が邪魔で小さくしたいとき」です。
興奮して自然と力が入りやすく、底を傷つけるミスが起きやすいタイミングであることは注意しておきたいです。
真空パネルに関する補足として、6面のうちいくつの面に真空パネルが使われているかは商品によって異なります。
最大「6面パネル」までありますが、「底1面」「3面」などもあります。
真空パネルの面数が減れば、重さや価格、破損リスクといったデメリットを軽減できます。(とはいえ、一番リスクが高い底面は真空パネルとなりますが••)
これらの扱いや選択の難しさを考えると、予算があって破損のリスクがあっても良いなら真空パネルが選択肢になりますが、バランスが良いのはウレタンと感じるのではないでしょうか。
釣り用とキャンプ用、どっちを選ぶ?【用途別チェックポイント6つ】
そのポイントは次の6つです。
これを知ると、あなたの趣味に合うクーラーボックスが選べるでしょう。
- 持ち運びやすさ
- 耐久性
- 開閉しやすさ
- 保冷力
- 洗いやすさ
- デザイン性
持ち運びやすさ
持ち運びやすさは、釣りの快適さに直結します。
なぜなら、釣り場と駐車場が離れている場所多く、その長い距離をクーラーボックスに加えて竿や道具箱と一緒に持って運ぶ場面があるからです。
そのため、「片手で持ちやすい」「ショルダーベルトが付けられる」「他の荷物に引っ掛からない(凹凸が少ない)」などが大切です。
もしあなたが「自分の行くところは、移動距離短いから平気」と考えても、釣りをしているうちに、別の場所に魅力を感じるかもしれません。
その時、移動しにくいクーラーボックスで、その場所を候補にできないのは残念と感じるのではないでしょうか。
釣れていたはずの魚や思い出を逃すことになってしまいます。
キャンプ用でも同様ですが、「良い空間をつくる」ことを重視して、あえてデザイン性を優先する選択もあります。
たとえば、車からの持ち運びがほとんどないオートキャンプ場を想定しているなら、道具もそれに合わせて揃えているでしょう。
その場合、「持ち運びやすさ」よりも、「見た目」や「雰囲気づくり」を優先した選び方になることもあります。
耐久性
釣り用は、頑丈でないと長く使えません。
なぜなら、氷や魚が入って重くなった状態で、船や防波堤、岩場などにぶつけてしまうことがあるからです。
特に帰宅時は疲れていて扱いが雑になりやすく、乱暴においてしまうなどか起こりがちです。
そして、作りが弱いと底の角が割れたりして使えなくなってしまいます。
そのため、製品自体も頑丈さを重視しているものが多いです。
キャンプ用は、必要以上に頑丈だと重くなります。そのため、強度はほどほどに、軽さや見た目を重視したものも選ぶことができます。
開閉しやすさ
釣り用でもキャンプ用でも、開閉のしやすさは重要なポイントです。
釣りでは、「魚を持ったまま片手で開ける」「釣れるたびに頻繁に開閉する」といった特徴があります。
また、エサや魚を触った手で操作するため、なるべく少ない動作で開け閉めできると便利です。
特に、帰宅後にクーラーボックスが汚れていると、においが出て嫌な思いをすることもあります。
そのため、ワンタッチで開けられる・手を離すと自動で閉まるといった仕様は、大きなメリットになるでしょう。
なお、釣り用クーラーボックスでは、リーズナブルなモデルはシンプル設計が多く、ハイエンドモデルでは、取っ手などのパーツが機能性を優先して大型化し、見た目に少し無骨さが出ることもあります。
これは、開閉のしやすさや清潔さを重視しているためです。
キャンプでも、開け閉めのしやすさは快適性に直結します。
特に、食事をメインに楽しみたい方にとっては、つまみや飲み物をさっと取り出せるだけで、使い心地が大きく変わります。
うっかり閉め忘れて冷えが悪くなるのも防げるでしょう。
また、キャンプ用のハイエンドモデルでは、機能性とデザイン性の両方にこだわった製品もあり、選択肢の幅が広がります。
ただし、こうしたモデルを海釣りで使用すると、塩分によって錆びたり、固まった塩でパーツが動かなくなったりすることがあります。そのため、海の側で使うなら釣り用の方が長く快適に使えるでしょう。
保冷力
釣りとキャンプでは、似ているようで環境が大きく異なることがあります。
特に違いが出るのは、「日陰の有無」です。
釣りは水辺で行うため、日陰が少なく、直射日光にさらされることが多いです。
そのため、釣り用クーラーボックスでは直射日光を意識され光を吸収しにくい白系などの明るい色が多いです。
また、蓋が厚く設計されていたり、密閉性を高めて保冷力を強化しているのも特徴です。
船釣りや防波堤の先端など、氷の補充が難しい場面も多く、素材だけでなく密閉性など構造全体で保冷力が確保されています。
(ただ、「釣り用」として売ってても、安価だとそこまでの対応はされてないことにはご注意を。)
こうした環境にも関わらず、保冷力の低いクーラーボックスを使ってしまうと、あなたがせっかく釣った魚が全て傷むなど、失敗につながりやすいです。
一方、キャンプでは木陰に加えて、テントやタープなどで日陰を作ることができます。
そのため、クーラーボックスを直射日光から守りやすく、保冷力を最優先にしなくても他の手段で補える場面が多くなります。
結果として、選べる製品の幅も広げられます。
洗いやすさ
釣りでは、魚を入れるときやエサなどで汚れやすく、それが臭いの原因になることもあります。
そのため、凹凸が少なく、表面がツルッとしたシンプルなクーラーボックスだと、簡単にきれいに洗えます。
特に、自宅での保管時にニオイを防ぎやすい点は見逃せません。これは購入前には意外と気づきにくいため、意識して選ぶと後悔しない買い物ができるでしょう。
加えて、内部に「水抜き栓」が付いていると、水を抜きながら洗えるので手間も減ります。
一方、キャンプ用でも、シンプルで洗いやすいことは大きなメリットです。
ただ、釣りほどは汚れにくいため、収納ポケットなどの機能性を重視したり、デザインで選んでも、快適な空間づくりが楽しめるでしょう。
デザイン性
釣り用は、これまでお伝えしたとおり、機能性を重視した結果、「シンプルな形状」「ツルッとした表面」「薄い色」「大きな取っ手」という特徴を持ちます。
その結果、どのメーカーも似たようなデザインになりやすいです。
(結果的に、ステッカーを貼って個性を出すひとがも多くなります。)
一方、キャンプ用は、「キャンプで求める機能性を追求したもの」だけでなく、「デザイン性」や「好みのメーカー」などバリエーションが豊富です。
あなたのキャンプの楽しみ方のスタイルに合わせて選びやすいです。
まとめ
本記事では、クーラーボックスの素材と種類について、以下のポイントをお伝えしました。
- クーラーボックスには、「ソフトタイプ」と「ハードタイプ」の2種類があること
- ハードタイプには、「発泡スチロール」「ウレタン」「真空パネル」の3つの素材があること
- 保冷力の高さは「真空パネル>ウレタン>発泡スチロール>ソフト」だが、実用性とコスパのバランスではウレタンが優れていること
- 釣り用・キャンプ用の選び方として、「持ち運び/耐久性/開けやすさ/保冷力/洗いやすさ/デザイン性」の6つのチェックポイントがあること

この記事を読んで、クーラーボックス選びの全体像がつかめたのではないでしょうか。
きっと今、「釣り用のクーラーボックスならキャンプにも使えるけど、キャンプ用を釣りに使うのはちょっともったいないかも」と感じている方も多いはずです。
もしあなたが「釣り用クーラーボックス」の購入を考えているなら、以下のページもぜひ参考にしてみてください。
再掲となりますが、さらに実用的な知識をもとに、納得のいく買い物ができるはずです。