釣具には様々な種類が存在しますが、中でも最も選ぶ際に迷うのが釣り竿(ロッド)だと感じます。
長さや硬さが少し異なる多くの製品があることに加え、価格が高いため、さまざまな種類を試すことが難しいのです。
その結果、多くの場合、スペックを基にして、使用する場所や状況に適したものを選ぶことが一般的となっています。
今回の記事では釣り竿のスペックによる違いを詳しく解説していきます。
竿に関しては、自分の感覚に馴染むかが非常に重要です。
ただ、実際に使用しない限りはわからないため、どうしてもスペック頼りになることが事実です。
本記事が、釣り竿選びのヒントとして役立つことを願っています。
また、「釣具の多様性」の連載として、本記事に関連した以下の内容も紹介しています。
ぜひ合わせてご覧ください。
1 釣り竿(ロッド)のスペックとして主に表示されている項目
カタログ等において、竿は次の項目が仕様として記載されていることが多いです。
そのため、本記事では、その項目に沿って説明をしていきます。
- 「長さ」
- 「強度(使用できる重さ、糸の強さ)」
- 「柔らかさ/強さ」
- 「調子(曲がり方)」
なお、今回は「多くの種類がある理由」の説明として、各項目の仕様の違いによって生じるメリット・デメリットを記載します。
行く釣り場を想定して、そのメリット・デメリットのどちらを優先すると使いやすいかを考慮して、選択していくこととなります。
結果的に、シチュエーションや使用する人によって、適切な仕様が変わることから、結果的に多くの商品がラインナップされることとなります。
1.1 竿の長さ
長さが少し変わるだけで、感覚がだいぶ変わる(15cmも違えば、かなり変わる)ため、多くのバリエーションがあります。
なお、飛距離に関しては長さだけでなく、他の要素も大きいため割愛します。
○ 短い釣り竿のメリット
- 短いと(以下、同じ)、竿先に糸が絡んだ場合に、手を伸ばせば届く(長いと、一度地面に置かないと届かない)。
- 少ない力で持てるため疲労しにくい(先にオモリをぶら下げるため、長いほどテコの原理が働き負担が大きくなります)。
- 穂先と手元までの距離が近いため、細かな操作がしやすい。
- 魚の引きやアタリが手元までダイレクトに感じて楽しい。
- 製品によっては、同じグレードでも値段が安くなる。
○ 長い釣り竿のメリット
- 長い竿は曲がる部分が多く、大きな魚がかかったときのストロークを活かして衝撃を緩和するのが容易です。これにより、細い糸も使いやすくなります。
- 足元に障害物等がある場合に、釣り竿の長さを活かして左右に誘導できる。
- 仕掛けが長い場合でも扱いやすい
- 船の場合、波の揺れが強いときに、竿のストロークで揺れを吸収してくれる。
- 岸で足場が悪い場合、波打ち際から距離を取れて安全になる。
1.2 強度:使用できる仕掛けの重さや糸の強さ
「強い」という点のメリットは「大きい魚が釣れる」「重い道具が使える」といった点で直感的に理解しやすいと思います。
そこで、こちらでは適度に「弱さ」があるメリットに焦点を当てて説明します。
○ 適度に弱さがあるメリット
- 軽く繊細な道具の使用が可能。
過度に強化すると補強により重くなり、繊細な作りが難しくなります。 - スリルやわずかな違いが感じられて楽しい。
魚が来たときに、ドキドキするため、趣味として楽しさが増します。 - 細い糸でも、糸が切れにくい。
無理ができないことで、強く引っ張らなくなるため、結果的に糸が切れることの予防になります。
1.3 柔らかさ/硬さ:同じ重さを掛けた時の曲がりやすさ
「柔らかさ/硬さ」は、上記「強度」と相関があるため、似た傾向となります。
しかし、同じ「強度(耐荷重)」でも、柔らかいと少ない力で曲がりますし、硬いとあまり曲がらないです。
注意点として、「硬い」=「強い」ということではないです。
例えば、アジのルアー釣りなどで使用するの竿は、魚が来たことが分かるように硬く作られていますが、投げるものが数g程度のため、強度は比較的弱めです。
必要以上の強度を持たせないことで、とても軽量化されています。
他の例として、釣り竿の素材としてグラスというものを使用している竿は、曲げるととてもやわらないが、負荷を掛けてもなかなか折れない「強靭な竿」が多いです。(イメージとして太くや柔らかい輪ゴムのようなイメージで、引っ張ると伸びるのに切れない。)
その代わりに、思いという特徴があります。
○ 柔らかい竿のメリット
- 軽い道具が投げやすい。
ロッドと仕掛け(ルアー)の関係は、弓と矢のようなもののため、強すぎると曲がりにくく、飛びにくいです。 - 魚が針に食いつこうとした時に針が口の中まで入りやすく、針掛かりさせやすい。(一方で、針を口に刺す力は弱く貫通させにくいというデメリットがあります。)
- 魚が来たときに、負担が小さくなる。
大きい魚が来たときに、硬い場合は振動が直接体に来るため負担が大きくなります(体が大きい男性はあまり影響ないようですが、体が小さいと結構影響あります。)
○ 硬い竿のメリット
- 硬さを活かして、ルアーや仕掛けを操作しやすい。
硬さがあると、釣り竿を動かしたときに仕掛けもリニアに動かせる。 - 魚が針に食いついた時に瞬時に針掛かりさせやすい。(一方で、硬いと口の中に入りにくいというデメリットはあります。)
- 魚が来たときに、強い力で引っ張れる。
掛かった後にすぐに根(岩の間等)に行く魚の場合は、曲がると岩の間に潜られやすくなります。 - 投げる時に、風の影響を受けにくい。(ただし、上記の弓と矢の関係で、硬すぎると飛距離が落ちるため、硬い場合は使用者の筋力が必要です。)
1.4 調子:主に曲がる場所が、先か根本か中間か
竿は、負荷に応じて曲がりますが、「曲がり方(調子)」とは、竿のどの部分が曲がるのかを示すものです。
表示され方は、負荷が掛かった時の曲がる箇所に応じて、次のとおりです。
竿の根元に近い方(中央)から曲がる
→5:5調子 等、スローテーパー
竿の中央から少し先が曲がる
→7:3調子 等、ミディアムテーパー
竿の先端のみが曲がる
→9:1調子 等、ファーストテーパー
※調子とテーパーは、語源や趣旨が違うようですが、基本的には同じものと捉えて支障ないです。
「曲がり方(調子)」について、既出の「強度」と「柔らかさ/硬さ」との違いが分かりにくいと思うため、ご説明します。
「曲がり方(調子)」が同じでも、「硬い」ほど、より強い力を掛けないと同じ形には曲がりません。
一方で、負荷を掛けた時に、どこまで竿が折れずに機能してくれるかは「強度」次第となります。
ちなみに、このように書くと「強度」が強いほど良いと感じると思いますが、そうすると「重い」「振動を感じにくい」「高価になる」などのデメリットも出てきて、トレードオフとなります。
○ 根元に近いところから曲がるメリット
- 竿全体がしなやかに曲がるため、「柔らかさ」より活かして、波を吸収したり、細い糸が使いやすい傾向があります。
- 竿の曲がりが好きな人は、綺麗に竿が曲がったり魚が来た時も迫力があり、楽しめます。
(好み次第となりますが、私も大好きな特徴です。映画で、音を大きくすると迫力や世界観に入り込みやすいのと同じイメージと感じます。) - 柔らかさ次第では、負荷がないときには曲がらず長さをのメリットを活かして使いやすく、大きな魚が来て強い負荷が掛かると根本から曲がることで、実質的に短い竿と同じ(負荷の掛かる場所が体に近く、テコの原理が小さくなる)になることで負荷が小さくできる。
(私は体が小さいため、岸などで5mの竿を使う場合、長くて硬い竿に大物が掛かると体がブレて不安定になり、踏ん張りが効かずに落水の恐怖心が出るため、大物釣りの道具選びの際は気にかけています。)
○ 主に先端が曲がるメリット
- 「強度」や「柔らかさ」を変えずに、細かな操作ができる(極端な例として、カワハギ竿があり、一度手に取るとイメージがつきやすいです。)
- 竿の衝撃の吸収が小さくなるため、魚のアタリ(食った時の振動)が分かりやすい。(一概には言えずイメージです。)
2 まとめ
本記事では、本記事では、釣具の多様性の背景を記載してきました。
本記事トップに記載の各連載では、さらに詳しく説明していきますので、ぜひ併せてご覧ください。
※ 参考
本ブログでは、釣りを趣味として深めていきたい方や経験者向けに、釣り方毎の詳細や、釣具紹介等を掲載していく予定ですので、ご覧ください。
→本サイト全体の目次
また、釣りを始めたい方向け情報をまとめたカテゴリーページはこちらです。
→1_釣りを始めたい方、本格的にしたい方向け情報